永久平行線。





女を抱いた事は、初めてではない。
ただ、惚れた女を抱いたのは、初めてだった。



「んっ…」



そして、慶次のようにしなやかで、尚且つ、豊かな身体の持ち主は、初めてだった。

「慶ちゃん」

「あん…さ、すけ…っ」

触る肌は、吸い付く程に肌理細やかで。
撓る背中は、美しい孤を描き。
揺れる胸は、その大きさに掌で受け止める事が出来ず。
涙に濡れる顔は、あどけなさを残しながらも艶めいて。
その全身が、男に愛されるものだった。

それは、正に極上。

一度味わったとき、離すことはもう不可能だと悟ったのは記憶に新しい。
主の想い人であることは、知っているのに。




「慶ちゃんは…全部、俺様のものに、なってくれる?」



「…佐助が、全部、俺のものに、なってくれるならね…」




耳元で囁いた声に返ってくる言葉。
涙を滲ませて微笑む顔に、胸が高鳴る。
そのまま身体を、強く、強く、抱き締めた。




嗚呼悔しい。

じゃあずっと、手に入らないじゃないか。









作者コメント
どうしても佐慶が書きたかったので、書いてみました。
今回は以前のように私的に長いものではなく、何時も通りのものを。
呆気無く感じられたら申し訳ありませんー…!;
でも、言いたいことは詰め込みました。
色々想像していただければ、幸いですv